iDeCoって分かりづらいですよね?そんな悩みを一気に解消するべく、この記事ではiDeCoを完全攻略できるように解説していきます。
- iDeCoってどんな制度?
- iDeCoで老後資金は貯めれるの?お得なの?
- iDeCoのメリット・デメリットは?
- iDeCoはどんな人に向いてる?
- 誰でもiDeCoを使えるの?
- iDeCoはどうやって始めるの?
このような疑問を全て解決していくので参考にしてください。
iDeCoってどんな制度?
iDeCoとは『自分の為に年金を作る制度』です。
「iDeCo」は、個人型確定拠出年金の英語表記「individual-type Defined Contribution pension plan」の略になります。
iDeCoの概要
- 自分で掛け金を拠出する(事前に決めた確定額を積み立てていくから”確定拠出”とも言います)
- 自分で運用する
- 年金受取額は運用成績によって変わる
『運用・投資って危なくないの?』と思われる人は『日本の年金制度』について理解しましょう。

iDeCoは3階部分に当たる制度になります。
厚生年金を多く貰える大企業勤めの人は例外ですが、一般的なサラリーマン・自営業・フリーランスの人は『老後は安心』と言えるほど年金は貰えません。
年金の平均受給額
- 国民年金:約5万6000円(月額)
- 厚生年金:約14万6000円(月額)
このように公的年金だけでは厳しいという状況を踏まえて、政府が『iDeCoを活用する人が増えるように法改正するので、自分の老後は自分で備えてください』といって制度を作りました。
日本は、人口減少・少子高齢化の進行を考えると、自分の年金はiDeCoなどを活用して自分で準備しなくてはならない時代になったという事です。
幸いiDeCoはメリットが沢山ある優れた制度です。
iDeCoを正しく理解して正しく活用すれば非常に有効な老後対策になるでしょう。
iDeCoで老後資金は貯めれるの?お得なの?
結論は、『老後資金は貯めれます!お得です!』
iDeCoは国民がそれぞれ老後に備えるために作られた制度です。
iDeCoの公式サイトにも『税制上のメリットを受けながら、より豊かな老後生活を送るための資産形成方法としてもう一つの年金iDeCoへの加入を検討してみてはいかがでしょうか?』と書かれています。
iDeCoの最大の特徴は節税メリットです。
- iDeCoで積立すると住民税と所得税が”軽減”できる
- iDeCoで運用すると運用益が”全て非課税”になる
- 受け取る時にも退職金や年金として”控除が適用”される
自分で自分の年金を用意するなら税金を優遇するというわけです。
政府公認の節税なので活用するべきです。
老後2000万円問題はiDeCoで解決出来るのか?
例えばですが、企業年金のない会社員が毎月2万3000円を30歳~60歳の30年間拠出し続けて年利5%で運用することが出来れば60歳時点での資産額は1914万円になります。

内訳は、投資元本が828万円、運用益が1086万円になります。
ただし必ず年利5%で運用出来るというわけではありません。(あくまで仮定の話です。)
掛け金が全額所得控除
上の図をご覧ください。
投資元本:828万円は『掛け金の拠出時に所得控除になる』
〚掛け金額×税率〛だけ所得税・住民税が安くなるというわけです。
例えば
所得税率10%、住民税率10%なら、〚投資元本828万円×20%=165万6000円〛節税になります。
年収が高い人ほど税率が高くなるので節税効果は大きくなります。
運用益も非課税
上の図をご覧ください。
運用益:1086万円にも税金がかかりません
通常、売却益や配当金・利息などの運用益には約20%の税金が掛かります。
もしiDeCoを活用していなかった場合には、運用益の1086万円に20%=217万2000円も税金がかかるという事です。
iDeCoならこれが全て非課税(節税)になります。
受け取る時も税負担を軽減
60歳以上になってiDeCoで運用した資産を受け取る時には『公的年金等控除・退職所得控除』このような税負担を軽減する制度を利用することが出来ます。
正に至れり尽くせりというわけです。
税金とは、家や車などと同じ人生最大の支出の1つですからiDeCoを使って上手に節税しましょう。
iDeCoのメリット
iDeCoには節税以外のメリットもたくさんあります。
- 天引きや引き落としにより、着実に積み立てられる
- 投資可能な商品が厳選されている
- 差し押さえ禁止財産である
- 転職時にも持ち運び可能
一つずつ解説していきます。
天引きや引き落としにより、着実に積み立てられる
iDeCoの掛け金は給与天引き・口座引き落としで強制的に確保されます。(先取り貯蓄)
貯蓄が苦手でお金を使い過ぎてしまう人も着実に資産形成が出来ます。
投資可能な商品が厳選されている
iDeCoで投資可能な商品は、各社3本~35本しかラインナップ出来ません。
実力のあるファンドが多く、投資初心者としては商品選定で悩まずに済みます。
投資可能商品が多いと、どれを選べばいいか分かりづらいですからね。
差し押さえ禁止財産である
将来もし万が一、経済的に自身が困窮することがあっても、iDeCoで運用している財産は差し押さえられることはありません。
自営業者や経営者が倒産して借金をしてしまっても、老後の資金は確保出来ます。
転職時にも持ち運び可能
iDeCoで積立てた資産は持ち運びが可能です。
会社員の人が転職した場合、転職先に企業型の確定拠出年金があれば、そこに運用資産を移管することが出来ます。
この時に、『積み立てたお金が無駄になってしまう』『一気に課税されてしまう』ことはありません。
iDeCoのデメリット
iDeCoにもデメリットは存在します。
- 長期間資金が拘束される
- 元本割れリスクがある
- 手数料が掛かる
- 本当に節税になるかは人による
一つずつ解説していきます。
長期間資金が拘束される
一度拠出したお金は原則60歳以降しか引き出せません。
iDeCoの年金資産を受け取れるのは加入期間によって異なります。
- 10年以上:60歳
- 8~10年:61歳
- 6~8年:62歳
- 4~6年:63歳
- 2~4年:64歳
- 0~2年:65歳
例外的に解約が認められる条件はありますが、その条件を満たせる人はほとんど居ないので知らなくても良いレベルです。
途中解約の条件は『重度障害』と『死亡』です。
iDeCoは始めたら止められないと思っておいた方が良いです。
元本割れリスクがある
iDeCoでは元本が保証されている定期預金などの商品の他に、投資信託に投資することによって株や債券など元本割れの可能性がある資産にも投資できます。
投資信託に投資した場合、マーケットの状況によっては元本割れする可能性があります。
むしろ5年~10年投資していたら、どこかのタイミングで一度は含み損を経験することになるでしょう。
確実にノーリスクで安全に資産が増えるモノではありません。
最悪iDeCoをやったことで損をする事も視野に入れておきましょう。
手数料が掛かる
『加入・口座開設など行った時』『掛け金を納付した時』『年金を受け取る時』などに『国民年金基金連合会・運営管理機関・事務委託先』これらの3社にそれぞれ手数料を支払う必要があります。
ざっくり数千円掛かるイメージです。
国民年金基金連合会の手数料は加入・移管時(初回のみ)に2829円
掛け金納付の度に105円と決まっています。
運営管理機関や事務委託先の手数料はどこの金融機関で口座を開設するかによって異なります。
なのでSBI証券のようにとにかく手数料が安い・手数料が掛からない金融機関を選びましょう。
資産運用でどれだけ資産が増えるかは未知ですが、手数料というのは毎年確実に取られるので、無駄な手数料は払わないように気を付けましょう。
本当に節税になるかは人による
今までの説明で『iDeCoは節税になる』『iDeCoはお得』と言ってきましたが、本当に節税になるかどうかは人によります。
iDeCoは掛け金の拠出時には所得控除があり、運用益が非課税ですが、運用した資産を受け取る時は課税されてしまうからです。
『あれ?受け取り時も税負担が軽減されるんじゃないの?』と思った方へ
確かにiDeCoの受け取りをする際は次の制度が使えます。
- 公的年金等控除
- 退職所得控除
とはいえ、これらはあくまで『税負担を軽減』する措置であり、必ずしも『税負担をゼロ』にするものではありません。
結局iDeCoの節税効果をMAXで味わうためには
iDeCoの受け取りタイミング:何歳で受け取るか?
iDeCoの受け取り方法:年金で受け取るのか?一時金で受け取るのか?それとも併用するのか?
iDeCoの受け取り時のその他の収入状況
こういった要素を上手にコントロールしてiDeCoの受け取り時の税金を出来る限り減らす努力をしなくてはいけません。
『iDeCoを使ったことでトータルで増税になってしまった!』というケースは流石に無いと思いますが、最大の節税効果を受けて、賢く受け取るには実はかなり複雑な計算が必要になります。
iDeCoはどんな人に向いてる?
iDeCoの最大のメリットは『節税』です。
最大のデメリットは『老後まで引き出せない事』です。
このメリット・デメリットを考えると
iDeCoに向いている人は
- 老後資金以外のお金をある程度準備出来ている(いざという時の貯金・結婚・教育資金など)
- 年収が高く、納めている税金が多い
- iDeCoに加入しても、その他に貯金も出来る
iDeCoに向いていない人は
- いざという時のための貯金が無い(最低でも生活費の6か月分ぐらい)
- 結婚・教育資金などが全く準備出来ていない
- 収入が少ない
老後資金を貯める前に、iDeCoよりも優先度の高い準備があるという事です。(まずは貯金!)
iDeCoに向いている職業、向いていない職業
一番おススメの職業は会社員・公務員になります。
オススメな理由
- 給与が安定しており、iDeCoの積み立てを無理なく続けられる
- 長期間資金が拘束される点も会社員・公務員には問題になりにくい
- 転職や退職をしても運用資産を持ち運べるというポータビリティ制度がある
iDeCoは10年・20年といった長期投資を前提とした制度です。
収入が安定している会社員や公務員の方が生活設計がしやすいのでオススメですね。
少し注意が必要な職業は自営業です。
自営業の人は収入の変動が大きいから注意が必要です。
しかし生活防衛資金を多めに用意した上で、無理のない金額で始める分にはメリットが大きいので十分な貯金がある自営業の人にはお勧めです。
収入が無くなったのに『iDeCoのお金が引き出せなくてヤバい』という状況にならないように注意して、所得の大きい年はiDeCoを最大限活用する。(節税しながら老後資金を貯められます。)そして所得の少ない年はiDeCoの掛け金を抑える(節税メリットも少ないし資金の余裕も必要なので)
このように掛け金の金額をコントロールしながら運用するのが良いでしょう。
iDeCoをオススメ出来ない職業は専業主婦(主夫)です。
所得税・住民税を払っていない場合、掛け金の所得控除は節税にならないからです。
iDeCo最大のメリットである節税が機能しないと魅力はありません。(ただ資金が拘束されるデメリットのみとなります)
誰でもiDeCoを使えるの?
iDeCoの概要、メリット・デメリットなど色々説明してきましたが、そもそもの疑問
『誰でもiDeCoを使えるの?』
答えは『誰でも使えますが、年金未払いの人は対象外です』
もともとiDeCoは、保障の弱い自営業者、フリーランスや企業型確定拠出年金制度のない(福利厚生が弱い)会社員の為の制度でした。
iDeCoは人気が無く、2016年12月末時点での利用者は30万人しか居ませんでした。
しかし2017年1月の法改正により、利用可能な人の範囲が拡大しました。
その結果、2021年9月時点で210万人以上まで増加しました。
iDeCoに加入出来る人と、職業別のiDeCoの掛け金限度額について
自営業者など(第1号被保険者)月額6万8000円
公務員・私立学校教職員(第2被保険者)月額1万2000円
会社員(第2被保険者)
- 企業型確定拠出年金のみ加入している場合:月額2万円
- 企業型確定拠出年金以外の企業年金等に加入している場合:月額1万2000円
- 企業年金等に加入していない場合:月額2万3000円
専業主婦など(第3被保険者)月額2万3000円
ただし2022年2月現在、大企業に勤務している人は勤務先の規約・スタンス次第ではiDeCoに加入出来ないケースがあります。
しかし2022年5月には法改正によって『ほぼ誰でも利用できるようになる』予定です。
2022年5月からは、60歳~65歳未満の人も加入可能になる予定です。
2022年10月からは、今までiDeCoを活用できなかったサラリーマンも利用可能になる予定です。
先ほど日本の年金の仕組みについて説明しましたが、iDeCoは年金の3階に当たる部分です。
土台となる1階の国民年金を支払っていない(又は全額・一部免除)の人はiDeCoに加入することは出来ません。
iDeCoの始め方は?
iDeCoの始め方は至ってシンプルです。
『金融機関で口座開設して、購入する金融商品を選べばいい。』
iDeCoの始め方① 金融機関でiDeCo専用の口座を開設する
iDeCoを取り扱っている金融機関は約160社です。
証券会社・保険会社・銀行など
金融機関によって購入できる運用商品(投資信託・定期預金・保険など)加入時・運用期間中の手数料などが違ってくるので注意が必要です。
どこで開設するかによって将来の損益に関わってきます。
iDeCoの始め方② 購入する運用商品を選択する
あなたが口座開設した金融機関で用意されている3~35の運用商品の中から選べばOKです。
『選択肢が多いと選べない』『実際選べないから放置している』こういう問題を解決するために、運用商品数は3~35までと法令で決まっています。
ここまで説明を聞いて、結局は金融機関と運用商品は自分で選ばないといけないのかと悩んでいる人の為にオススメを紹介します。
オススメ金融機関・運用商品
金融機関をあえて一つ選ぶなら『SBI証券』になります。
- ネット証券口座開設数1位
- iDeCo加入者数1位
- 2005年からの運用実績
- 口座開設手数料0円
- 運営管理手数料0円
- 低コスト・良質な運用商品
現状、顧客獲得競争の1位が『SBI証券』になります。
おすすめ運用商品
① SBI・全世界株式インデックスファンド
この商品は、これ1つで世界中の株式に投資できるイメージの商品です。
② eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
この商品は米国の代表的な株価指数『S&P500』に連動するように運用されています。
どちらも世界の株式に投資するファンドということになります。
『株式って危なくないの?』と思われるかもしれませんが、過去数十年の米国株式市場のデータによると、15年~20年以上の長期投資なら損はしないと言われています。
ちなみに日本の株式市場においても、15年~20年以上の長期投資であれば元本割れリスクはほぼ無いと言われています。
ただし過去のデータ(日本と米国)を比べてを見るとリターン(利益)が大きく異なり、株式では米国1強の時代と言われていることから、日本ではなく米国中心の商品をオススメさせてもらいます。
しかし『未来の事は誰にも分かりません』ので最終判断は自己責任でお願いします。
長期投資で損しない(可能性の高い)運用商品の特徴
- 分散された米国株or全世界株のインデックスファンド
- 手数料が安い
- 純資産残高も充分
株式はリスクが高い=リターンも高いです。
iDeCoは運用益が非課税になるので、株式100%で攻めて運用益を伸ばしたほうが節税効果が大きいです。
そしてiDeCo以外で貯金を別にしておけばリスクを減らす効果が見込めます。(リスクをコントロール出来るという事です)
まとめ
iDeCoの悩み
- iDeCoってどんな制度?
- iDeCoで老後資金は貯めれるの?お得なの?
- iDeCoのメリット・デメリットは?
- iDeCoはどんな人に向いてる?
- 誰でもiDeCoを使えるの?
- iDeCoはどうやって始めるの?
iDeCoのメリットまとめ
- 自分の為に年金を積み立てる制度で節税メリットがある
- 掛け金が全額所得控除
- 運用益も非課税
- 受け取る時も税負担を軽減可能
- 給与天引きや口座引き落としで確実に先取り蓄財できる
- 差し押さえ禁止財産である
- 月2万強の積み立てでも5%で運用出来れば30年で約2000万円になる可能性がある
iDeCoのデメリット総まとめ
- 長期間資金が拘束される
- 元本割れリスクがある
- 手数料が掛かる
- 本当に節税になるかは人による
『老後資金が不安』と感じている人は、iDeCoを『やらない理由は無い』と思います。
家計に余裕が無い人は、まずは家計の見直しを行い、生活費6か月分の貯金を作りましょう。
その後、生活に余裕が生まれたらiDeCoの制度を活用して老後の資金を貯めていきましょう。
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