『老後が不安』『年金は足りるの?』
こういった悩みの解決策としてiDeCoがあります。
- 掛け金を積めば積むほど”節税”になる
- 資産運用で儲けた利益は非課税
iDeCoは、自分年金を作るにはもってこいの優遇制度になっています。
この制度を活用すれば1000万円、2000万円といった老後資金を準備することも決して不可能ではありません。
iDeCoの基本については一番下にある記事を参考にしてください。
そしてその記事では解説しきれなかった”テーマ”について本記事では解説していきます。
そのテーマとは『iDeCoの受け取り方』です。
iDeCoは原則60歳以降に受け取りを開始しますが、受け取り方を間違うと税金で損をしてしまう可能性があります。
無駄な税金を取られずに、現金を受け取る方法について解説していきます。
自己紹介
私は正社員ではなくアルバイト生活を送っています。
低収入・ノーボーナスでも計画性を立てれば資産は築くことが出来、現在資産は850万を超えました。
2016年から始めた資産運用により資産を拡大しつつ老後への備えをしっかりやっています。
私の知識や経験が少しでも役に立てればと思いこのブログを開設しました。
iDeCoの給付条件
iDeCoはどんな時に引き出せるか知っていますか?
『原則60歳以降』と答えた人は正しいですが、更に深い知識を手に入れましょう。
iDeCoには3つの給付金があります。
- 障害給付金
- 死亡一時金
- 老齢給付金
1つずつ解説していくので、iDeCoをやっている人は必ず知っておきましょう。
障害給付金
病気やケガなどで”障害”を抱えてしまった時に引き出せるお金です。
次に当てはまると60歳前でも引き出すことが出来ます。
- 障害基礎年金(1級~2級)を受け取っている
- 身体障害者手帳(1級~3級)の交付を受けた
- 療育手帳(重度)の交付を受けた
- 精神障碍者保健福祉手帳(1級~2級)の交付を受けた
いわゆる”高度障害”のケースです。
60歳にならなくても”高度障害”という『もしも』の時は受け取ることが出来ます。
死亡一時金
iDeCoに加入している”本人”が亡くなってしまった時に遺族が受け取れるお金です。
妻・夫・子供・両親・孫・祖父母・兄弟姉妹という人たちが請求すれば受け取ることが出来ます。
老齢給付金
原則60歳~75歳の自分の好きな時に受け取れる。
2022年4月以前は60歳~70歳までだったのが改正されました。
ただし60歳時点で、積立てたり、運用したりしていた期間が10年未満だと受け取れる年齢が後ろにズレていくので注意しましょう。
iDeCoの受け取り(原則60歳以降)と言えばこのケースを思い浮かべると思います。
まとめ
iDeCoの給付条件は以上の3つになります。
障害給付金や死亡一時金など、もしもの時も受け取ることが出来るので『掛け金が払い損』になることはありません。
リスク資産に投資して、運用が上手くいかなければマイナスになることもありますが、15年・20年といった長期で運用することが出来れば、マイナスになるリスクはかなり少なくなります。
そして意外と知られていないですが、iDeCoの財産は『差し押さえ禁止財産』です。(※ただし国税の滞納等による差し押さえを除く)
もし自営業者や経営者が事業に失敗して借金を背負っても、iDeCoで作った財産は差し押さえられません。
個人経営に失敗しても老後資金は守られるというのはフリーランスにとっては大きな安心ですね。
iDeCoの受け取り方3パターン
iDeCoで作った資産の受け取り方は3パターンに分類されます。
- 年金(5年~20年の間で『均等額で取り崩し』『均等割合で取り崩し』など選べる)(商品によっては『終身年金』として受け取りも可能)
- 一時金(一括でお金を引き出す)
- 併給(年金と一時金を組み合わせる)
先ほど紹介した『障害給付金』『死亡一時金』『老齢給付金』それぞれ、どのスタイルで受け取るのがお得なのか解説していきます。
障害給付金の受け取り方
障害給付金は、”年金として受け取っても”、”一時金として受け取っても”、”併給で受け取っても”、全ての受け取り方で『非課税』です。
国が障害というハンデを背負っているのに、重い税金を課すのは良くないということで『非課税』となっています。
つまり障害給付金の受け取り方は『どの方法でも大丈夫』というわけです。
死亡一時金の受け取り方
死亡一時金は、名前の通り『一時金でのみ』しか受け取ることが出来ません。
みなし相続財産として、『法定相続人』1人につき500万円の非課税枠があります。
例えば
iDeCo残高:1000万円
残された家族:妻1人・子供1人の場合
非課税枠500万円×2人=1000万円となり相続税は一切かかりません。
※その他に、みなし相続財産(生命保険など)が無い場合に限ります。
受け取り方は『一時金』のみ、優遇税制あり
※注意点※
死亡一時金は『遺族が自分で請求しないと受け取ることが出来ません!』
iDeCoの加入者が亡くなって『3年以内』に請求しないと『非課税枠が消滅』するので4年目以降に請求した場合、税金が課せられます。
iDeCo加入者は、家族に対して『自分が亡くなったら3年以内に自分で死亡一時金を請求するように』と必ず伝えておきましょう。
老齢給付金の受け取り方
年金として受け取った場合:雑所得
一時金として受け取った場合:退職所得
併給の場合:雑所得と退職所得の組み合わせ
老齢給付金の場合は『年金として受け取るか』『一時金として受け取るか』によって『税金の金額』が変わります。
障害給付金や死亡一時金と違い、老齢給付金は判断を誤ると100万円レベルで損をする事になります。
なぜそうなるのか?
どうすればいいのか?
次から細かく解説していきます。難しいかもしれませんが頑張って理解してください。
税金を最安にする方法
複雑な内容になっているので、まず『結論』から発表します。
iDeCoを老齢給付金として受け取る際には
①退職所得控除の範囲内で一時金として受け取る
②残額があれば公的年金控除の範囲内で小分けにして年金として受け取る
この2つで税金を最小化することが出来ます。
実際には
- iDeCoの受取額
- iDeCoの加入年数
- 勤務先での退職金の有無
- 勤続年数
- 公的年金受給額
これらの条件が人によって違うので、その都度判断が必要となりますが、基本的な考え方は上記2つで大丈夫です。
老齢年金を受け取る上で重要なことは
- 退職所得控除をフルに使い切る
- 公的年金控除を使い切る
老齢給付金の基本
iDeCoというのは
掛け金を拠出した時に→所得控除の対象になる(節税になる)
お金を受け取る時に→所得として課税される
結局、60歳以降で受け取る時に〚課税〛されてしまうのは悲しいですよね。
そこで国としても制度を作っているわけです。
その制度が控除になります。
一時金として受け取る場合には
退職所得扱いにする→退職所得控除を認める
年金として受け取る場合には
雑所得扱いにする→公的年金等控除を認める
そもそも『控除』ってなに?
控除とは、国がいろいろ事情があるなら”控除”を認めてあげる(税金を減らしてあげる)という意味です。
収入を100%と仮定して控除が0%の場合
課税所得(収入)が100%になります。
しかし収入を100%と仮定して控除が50%の場合
課税所得が50%、控除が50%となります。(控除の分だけ課税所得の割合が減ります)
そして『税金』は『課税所得』に対して掛かるため、控除によって課税所得の割合が減ると税金も減るという仕組みです。
つまり『控除』が多ければ多いほど『課税所得』の割合が減り『税金』が安くなるというわけです。
課税所得の計算方法
会社員の場合
〚給与-控除=課税所得〛
個人事業主の場合
〚売上-経費-控除=課税所得〛
控除の具体例
iDeCoで運用期間”20年間”かけて”1000万円”の資産を作ったとしましょう。
これを『一時金』として受け取ると、『退職所得』として扱われます。
退職所得には『退職所得控除』を受けることが出来ます。
退職所得控除は〚勤続年数×40万円〛これだけ控除が認められます。
iDeCoの場合は〚加入年数×40万円〛ですね。
勤続年数(加入年数)が20年を超える場合は、20年を超える1年につき、更に70万円ずつ控除額が増えていきます。
上記のケースでは
〚加入年数20年×40万円=800万円〛の退職所得控除が認められるということです。
1000万円に対して税金がかかるはずが、退職所得控除800万円によって、実際には200万円に対して税金がかかるというわけです。
更に退職所得とは、退職所得控除を引いた金額を更に半分にした金額と定められています。
つまり最終的な退職所得は、200万円の半分=100万円となり、100万円に対して税金が課せられるという事です。
応用編
会社員や公務員の人は、iDeCo(一時金)の他に、勤務先での退職金があります。
個人事業主の場合は、iDeCo(一時金)の他に、小規模企業共済が対象です。
退職金と共済はどちらも『退職所得』に分類されるので控除の計算が難しくなるでしょう。
『一時金』と『退職金』それぞれに対して退職所得控除が使えるのか?と疑問に思うでしょうが、下記の2パターンのみ2度退職所得控除を使うことが出来ます。
iDeCoと退職金(小規模共済)の両方に退職所得控除を使う方法
- 勤務先から退職金を受け取って、その20年以上後にiDeCoで一時金を受け取る
- iDeCoで一時金を受け取って、その5年以上後に勤務先から退職金を受け取る
この2パターンになります。
要するにどちらかを受け取ってから一定期間空けなければならないというわけです。
①退職金→iDeCoの場合
55歳で勤務先から退職金を受け取って、75歳でiDeCo(一時金)を受け取る。
②iDeCo→退職金の場合
60歳でiDeCo(一時金)を受け取って、65歳で勤務先から退職金を受け取る。
上記のケースなら退職所得控除を2度使うことが出来ます。
上記以外のケースでは、1つの退職所得控除の枠をiDeCoと退職金で共有することになります。
もしiDeCoの一時金の額が、退職所得控除を上回っていた場合はどうすればいいのか?
〚iDeCoの資産1000万-退職所得控除800万=200万÷2=100万円〛
100万円に対して課税されるのは残念!
そこで次に登場するのが『公的年金等控除』になります。
公的年金等控除
iDeCoを『年金』として受け取る場合、雑所得に分類されます。(先ほどは一時金で退職所得)
退職所得→退職所得控除が認められる
雑所得→公的年金等控除が認められる
公的年金等控除について
65歳未満の人→”年額60万円”までの年金は非課税
65歳以上の人→”年額110万円”までの年金は非課税
現状、65歳から受給することが出来る『国民年金』は満額で約80万円です。
iDeCoの受け取り方法を『年金』にして年額30万円未満にすれば、年額の合計は110万円になります。
国民年金+iDeCoの年金を非課税で受け取ることが出来ます。(自営業者・フリーランス・専業主婦の人は、ぜひ覚えておきましょう)
一方で厚生年金に加入している『会社員・公務員』の人は、国民年金+厚生年金を受け取ります。
国民年金と厚生年金を合わせて年額約170万円になります。
iDeCoを年金として受け取ると、ほぼ確実に”課税”されてしまいます。(110万円をオーバーするため)
それだったらiDeCoを一時金として受け取って、退職所得控除を使って課税されたほうがマシかもしれません。
税金を最安で受け取る方法
これらを踏まえて、税金を最安でiDeCoを受け取る方法は
- 〚勤務先退職金〛と〚iDeCoの一時金〛の受け取り時期を調整して、退職所得控除を2度使う(枠をフルに使い切る)
- 公的年金等控除の枠をフルに使い切る
この2つに注意すれば税金を最安に抑えられます。
iDeCoの受け取りに関わる重要な数字
退職所得控除の計算方法
勤続年数(=A) | 退職所得控除額 |
20年以下の場合 | A×40万円 (80万円に満たない場合は→80万円) |
20年超の場合 | 800万円+(A-20年)×70万円 |
退職所得控除を2回使うために必要な経過年数
退職金→iDeCoの場合:20年
iDeCo→退職金の場合:5年
公的年金等控除額
65歳未満→年額60万円まで
65歳以上→年額110万円まで
iDeCoの受け取り方を間違えると100万円~200万円レベルの損をします。
正しい知識を身に付けて、iDeCoで作り上げた資産を賢く受け取りましょう。
iDeCoについて詳しく解説している記事はこちら
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