2019年金融庁より『年金だけでは老後の生活費が2000万円足りない』と突然の発表で世間を驚かせた【2000万円問題】
突然の発表に慌てて資産を確保しようと投資をする人が急増しました。
それでも老後まで残り少ない期間しかない人は2000万円用意することは難しいでしょう。
しかし最新のデータによると不足分は2000万円から1200万円に変更されました。
いったい何があったのか?データを読み解き本当に必要な金額はいくらなのか?検証してみましょう。
自己紹介
私は正社員ではなくアルバイト生活を送っています。
低収入・ノーボーナスでも計画性を立てれば資産は築くことが出来、現在資産は850万を超えました。
2016年から始めた資産運用により資産を拡大しつつ老後への備えをしっかりやっています。
私の知識や経験が少しでも役に立てればと思いこのブログを開設しました。
2000万円問題
2019年に発表された2000万円問題

2017年の家計調査のデータに基づき、無職の高齢夫婦の毎月の収入(年金)から支出を差し引くと、毎月5万4000円の赤字となる計算です。
毎月5万4000円の赤字が30年間続くと約2000万円不足する。
これが【老後2000万円問題】です。
1200万円問題
2021年に発表された1200万円問題

2017年のデータと2019年のデータを比較すると、2019年では実収入が2万8000円アップして消費支出が4000円アップしました。
収入の大幅アップに対して支出がそこまでアップしなかったので毎月の不足分は3万3269円となりました。
毎月3万3269円の赤字が30年続くと約1200万円不足します。
これが新たに金融庁から発表された【1200万円問題】です。
最新データ2020年版
常に2年前のデータを用いているのが分かると思いますが2021年10月26日現在に発表されている一番最新のデータは2020年版になります。
2020年も見てみましょう

2020年のデータによると、なんと!毎月1111円の黒字となっています。
2019年と比較して実収入が約2万円アップして消費支出が1万5000円ダウンしました。
コロナ禍での外出自粛の影響により支出が減ったのが原因でしょう。
2000万円問題、1200万円問題とありましたが、2020年のデータによると老後の心配はしなくてもいいという結論になってしまいます。
【危険!】データを信じない方が良い
- 2017年:2000万円不足
- 2019年:1200万円不足
- 2020年:黒字だから心配いらない
たった4年でこのような変貌を遂げるデータは信じない方が良いです。
理由は2つあります。
1.年金支給額は減少する可能性が高い
2.インフレによって支出額が増える可能性が高い
年金支給額は減少する可能性が高い
2019年に年金財政検証が行われ、2019年時点で年金支給額は『”所得代替率”61%』で計算されていますが今後は50.1%まで下げる可能性があると明言されています。
所得代替率とは
年金を受け取り始める時点における年金の金額が『現役世代のボーナス込みの手取り収入額と比較してどのくらいの割合になるのか?』を示したもの
(例えば!所得代替率が50%だとすると、その時代の現役世代のボーナス込み手取り収入の50%を年金として受け取ることが出来る)
つまり現役世代の給料が上がらない限り年金額は確実に減少することを意味しています。
インフレによって支出額が増える可能性が高い
インフレとは物価の上昇を表します。
普段の生活で物価の上昇は自然と体験しています。
食用油が○○円値上げ、小麦粉が○○円値上げなど
物価上昇の例として取り上げられる(吉野家の牛丼並盛)
- 2001年:280円
- 2021年:387円
今後も物価上昇は確実です。
それは政府が毎年2%の物価上昇の目標を掲げているからです。
消費者への負担を大きくして会社(生産者)の利益を上げることで国と会社を守ろうとしています。(会社の利益が上がれば税金を多くとることが出来、更に消費者から消費税を多くとる。この二重構造により国のお金が増えるというわけです)
今後も消費者である私たちは恩恵ではなく被害を被るしかありません。
まとめ
- 老後の最大の収入源である年金はほぼ確実に減少する
- 物価上昇は政府の掲げる目標であることからほぼ確実に起こり続ける
2019年赤字減少、2020年黒字だったのはコロナによる外出自粛の影響で支出を抑えることが出来たからです。
将来、普通の生活に戻った時に年金支給額は減少してインフレにより支出額が増加すれば確実に○○万円不足問題は出てきます。
データを鵜呑みにして2000万円問題、1200万円問題が無くなったと楽観視はせず今できることをしっかりとやりましょう。『備えあれば憂いなし』です。
いくら必要か?
正確な金額を出すことは無理ですがとりあえず試算してみましょう。
2020年のデータで解説していきます。

2020年の年金支給額は約22万円です。
現時点で所得代替率61%で計算されていますので、将来訪れるであろう50%まで下げてみるとどうなるか計算します。
年金支給額は約18万円となります。(4万円のダウンです)
〚その他の収入〛を3つのデータの平均とすると約2万5000円です。
消費支出ですが、コロナによって抑えられている2020年を見るよりもコロナが起きる前の2019年データを使いましょう。
2019年消費支出:約24万円
18万円+2万5000円-24万円=-3万5000円となります。
毎月3万5000円の赤字が30年間続くと1260万円不足します。
最低でも1260万円は用意する必要があります。
更にこの試算ではインフレを加味していないので将来的には消費支出が大幅にアップしてしまう恐れがあります。
そうなると当然1260万円では足りないので、2000万~3000万ほど必要になるでしょう。
※この試算は夫婦高齢無職世帯という条件で行われており、各家庭事情によって大きく異なるのであなた自身の条件で試算してみましょう。
まとめ
- 2000万円問題は2017年のデータを用いており毎月5万4000円の赤字が30年続いた結果、2000万円不足するという事
- 1200万円問題は2019年のデータを用いており毎月3万3000円の赤字が30年続いた結果、1200万円不足するという事
- 最新の2020年のデータによると毎月1111円の黒字となり老後の心配は不要という結果になる。
たった4年で『2000万円不足する』から『黒字になるから老後の心配はいらない』という検証は意味が無いと言えます。
将来の展望は『年金は減少する(収入が減る)』『物価は上昇する(支出が上がる)』
この2点を踏まえて最低でも1200万、不安を解消するためには2000万~3000万は用意したほうが良いでしょう。
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