これから年金が支給される方、すでに年金を支給されている方にとって年金額の引き下げは辛いですよね。
しかし2022年4月から年金受給額の引き下げが決定してしまいました。
しかも2年連続の引き下げとなっています。
最近では物価の上昇により家計のダメージが酷いですが、更に追い打ちをかけて年金が減らされてと生活をどうすればいいのか悩んでいる人も多いでしょう。
この記事では年金が
- いくら減るのか?
- 何故減るのか?
- 対応策はあるのか?
について解説していきます。
年金はいくら減るのか?
2022年度の年金額は昨年度に比べて0.4%引き下げられることが発表されています。
引き下げは2年連続となり、2014年度の0.7%に次ぐ引き下げ幅となりました。
国民年金(老齢基礎年金)は満額で
2021年:月額6万5075円
2022年:月額6万4816円
差額でマイナス259円(月額)です。
厚生年金は夫婦2人の老齢基礎年金を含む標準的な年金額
2021年:月額22万0496円
2022年:月額21万9593円
差額でマイナス903円(月額)です。
この例では、国民年金は満額時の金額、厚生年金は標準的な年金額を表している為、個々の年金額によっては異なるので注意しましょう。
また0.4%の引き下げは〚総支給額〛に対するものです。
何故減るのか?
年金が引き下げられる理由について、年金額の計算方法を簡単に理解しておかなくてはいけません。
年金は基本的に『前年度改定率×物価変動率×マクロ経済スライド調整率』によって算出されます。
つまり『物価変動率』や『マクロ経済スライド調整率』によって上がり下がりするのです。
物価変動率と年金の関係性は?
高齢者に給付される年金は現役世代が納める国民年金保険料や厚生年金保険料によって賄われています。
ただ昨今の急速な少子高齢化によって納付と給付のバランスが取れなくなった為、現役世代の負担を減らすために老齢年金の給付額が調整されるようになったのです。
その際、年金額の改定に使われているのが物価や賃金の変動率です。
その時の社会情勢や経済情勢によって、物価や賃金が下落すれば年金額が前年度よりも減ってしまう事があります。
年金額は物価や賃金の変動率によって上がり下がりすることになります。
また既存受給者の場合、物価変動率が年金の上がり下がりに大きく関与します。
しかしこれにはちょっとした条件があり、物価と賃金は上昇下落が同様に推移されるわけではないので、双方の動きによって”物価変動率”ではなく、”賃金の変動率”が採用されることもあるという事です。
つまり物価がどうであれ賃金がそれ以上に上昇しなければ賃金の推移が採用されるということです。
年金は常に上昇幅の少ない変動率、下落幅の大きい変動率を変数として計算されるという事です。(常に悪いほうの数字が使用されるという事です)
ちなみに、今回の年金引き下げは物価および賃金下落によるものであり、より下落幅の大きかった賃金下落幅が反映されていることになります。
2022年4月現在、生活において物価が大きく上昇していると感じると思いますが、採用される物価変動率はリアルタイムで反映されるわけではない為、ズレが生じることになります。
マクロ経済スライドと年金の関係性は?
年金額の改定は、物価や賃金の変動率の他に、マクロ経済スライドによる調整も行われています。
マクロ経済スライドとは、社会情勢に合わせて年金の給付水準を自動的に調整する仕組みの事で、物価や賃金が上昇した場合、年金額の伸びからスライド調整率を差し引くことで年金額を改訂します。
また物価や賃金の伸びが少なく、調整すると前年度の年金額を下回る場合は、スライド調整率による調整は一部のみに留めます。
更に物価と賃金の伸びがマイナスの場合には、物価と賃金の下落分は年金額を引き下げますが、スライド調整率による引き下げは行いません。
このように年金額は物価と賃金の変動率に加えて、マクロ経済スライドによる調整も行われている為、年度によっては年金額が減ってしまう事があるのです。
年金額は賃金や物価が上昇すると増えることになりますが、一定期間年金額の伸びを調整することで、『保険料収入などの財源の範囲内で給付を行う長期的に公的年金の財政を運営する』としています。
これは実は厄介なことで、マクロ経済スライドが採用されている期間は物価や賃金上昇率をそのままスライドして年金が上昇するのではなく、スライド調整率が加味されたうえで、実際の年金額の改定率が算出されます。
例えば、物価上昇率が2%であったとしても、スライド調整率が0.8%と算出されると、実際の年金額は1.2%しか上昇しない事になります。
つまり、マクロ経済スライド発動中に、物価が上昇しても年金は同様には上昇せず、年金額が上がっても実質値としては下がることになります。
マクロ経済スライドは賃金や物価が下落時には発動されない為、今回の改定ではマクロ経済スライドは1のまま変化がありません。
まとめ
今回物価は計算上0.2%の下落、賃金は0.4%下落したことから、賃金下落に代用することとなり、0.4%減額が決定しました。
一方マクロ経済スライドは発動されずに変化なしとなる為、0.4%減額が決定されたというわけです。
なお引き下げられた年金額は総支給額であり、ここから特別徴収分の介護保険料・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・住民税などが天引きされます。
したがって、これらの税率が拡大されれば実質の年金額は更に下がることになるわけです。
既にお気付きの様に、年金についてはあまり好ましい状況ではありませんよね?
そもそも物価にそのままスライドしないわけですから、経済が好転したとしても役にはならない事になります。
また政府は財政バランス健全化を目指していることから、保険料や税率も上昇傾向を辿ります。
これらによって年金額はドンドン少なくなり、中には年金だけでは生活が難しい人も居る事でしょう。
年金が少ない時の対応策は?
貰える年金が少なく生活が成り立たない人も居るでしょう。
まず可能であればパート・アルバイトで収入を増やせないか検討しましょう。
老後も自ら稼ぎ出し、年金+収入で生活を成り立たせる必要があります。
更に、固定費や食費・光熱費・浪費などを見直すことが重要です。
毎月の支出を減らす事が出来れば、その分生活が楽になるので必ず見直しましょう。
老後収入で生活が成り立ち多少の貯蓄が出来るようになれば、それだけで精神的にも楽になるでしょう。
もし急いで年金を貰う必要が無い人は『繰り下げ受給』を検討しましょう。
75歳まで繰り下げ受給を行えば最大84%増額されます。
国民年金のみの人でも年間約78万円が84%増額されて、143万円(月約12万円)になります。
まだ老後まで時間のある人は今のうちに貯金をしておき75歳まで貰わずに生活が成り立つように準備しておくと良いでしょう。
現在年金生活を送っていて、どうしても生活が成り立たない場合は、無理をして借金をしたりせずに『生活保護』を検討しましょう。
〚生活保護だけは嫌だ〛と思われる人も居るでしょうが、最低限の生活は国民の権利であり、実際生活保護受給者の約50%は65歳以上の高齢者となっています。
国の責任でどんどん年金額が減り続け、更に生活費が上がり続けているので、あなたが無理をして我慢する必要はありません。
どうしてもツライ場合は無理せず申請を行いましょう。
若い世代の対策
若い世代の人は『年金制度が破綻して貰えないんじゃないか?』と考え、年金を払わない人も居るかもしれません。
しかし年金は払っておいた方が良いです。
老後に貰う数万円の価値は若い時とは比べ物にならないからです。
更に年金が未納の状態だと、もし事故などによって障害を負って動けなくなった場合などに貰える障害年金の対象外となってしまいます。
年金を払うと同時に貯蓄や投資など、別の金融資産を持つことも重要です。
年金と金融資産からの収入があれば老後生活は劇的に楽になるでしょう。
今後の日本の年金制度はどんどん落ち目になっていくことが予想されているので、若いうちからしっかり準備をしておき快適な老後生活が送れるようにしましょう。
コメント