老後生活の主な収入と言えば『年金』です。
国民年金、厚生年金どちらも繰り下げ受給を選択することで毎月の受給額を増やすことが出来ます。
年金を65歳時点で受け取ると老後生活が苦しい状況の人にとって繰り下げ受給は選択肢の一つかもしれません。
しかし繰り下げ受給に関して勘違いしてしまうと、貰えるはずだった年金を受け取ることが出来なくなるかもしれないので注意が必要です。
年金を正しく受け取るためにも、正しい知識を身に付けましょう。
自己紹介
私は正社員ではなくアルバイト生活を送っています。
低収入・ノーボーナスでも計画性を立てれば資産は築くことが出来、現在資産は850万を超えました。
2016年から始めた資産運用により資産を拡大しつつ老後への備えをしっかりやっています。
私の知識や経験が少しでも役に立てればと思いこのブログを開設しました。
繰り下げ受給とは?
年金には貰うタイミングが3つあります。
- 65歳から普通に貰う
- 65歳より前に貰う(繰り上げ受給)
- 65歳より後に貰う(繰り下げ受給)
繰り上げ受給は60歳までの5年間、繰り下げ受給は75歳までの10年間の範囲で申請が可能です。
繰り上げ申請:1か月早まるごとに0.5%減額されます。
60歳受け取り:60ヵ月×0.5%=30%減額
繰り下げ申請:1か月遅くなるごとに0.7%増額されます。
75歳受け取り:120ヵ月×0.7%=84%増額
あなたの老後資金や年金の種類に応じて選択することになります。
次に勘違いしやすいポイントを解説していきます。
繰り下げ受給の年齢を決めなくても良い
繰り下げ受給を選択する場合、『あらかじめ受給開始年齢を決めなくてはいけない』と考えるのは間違いです。
繰り下げの手続き方法は、繰り下げの仕方によって異なります。
- 老齢基礎年金のみ繰り下げる
- 老齢厚生年金のみ繰り下げる
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り下げる
1または2を希望する場合は、65歳の誕生日の3か月ほど前に年金請求書が届きます。この請求書に記載がある繰り下げ希望の年金の種類の欄にチェックすれば自動で繰り下げが実行されます。
3を希望する場合は、年金請求書の返送を行わなければ自動で繰り下げが実行されます。
そして、あなたが年金を欲しいと思ったタイミングで年金事務所で受給手続きを行えば年金が支給されます。
つまり繰り下げ申請を行った後は、あなたの好きなタイミングで年金受給を開始することが出来るという事です。
特別支給の老齢厚生年金は繰り下げできない
年金の繰り下げに該当するのは『老齢基礎年金』と『老齢厚生年金』の2つだけです。
特別支給の老齢厚生年金は繰り下げの対象外となります。
”特別支給の老齢厚生年金”とは、厚生年金の加入期間が1年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、当分の間、60歳から64歳までの老齢厚生年金が特別に支給される年金の事です。
この特別支給の老齢厚生年金は5年以上受け取らないと『時効』により貰えなくなってしまうので、受け取れる人は必ず受け取っておきましょう。
受取額がお得になる年数を勘違いしやすい
65歳から受け取った場合と、繰り下げ受給をした場合では、お得になる分岐点は何歳なのか?

こちらのグラフを見ると70歳まで繰り下げた場合の分岐点は81歳11か月、75歳まで繰り下げた場合は86歳11か月という結果となっています。
しかしこのグラフ実は間違いです!
こちらのグラフは額面上の金額で比較した結果であり、年金は受け取る際は”税金”と”社会保険料”が引かれるので、残った手取り額で計算しなくては意味がありません。
何故かというと、繰り下げ受給を選択した場合、毎月の年金額は増えることになりますが、その分結果的に年金の手取り率が下がるからです。
手取り額で計算すると、ざっくりですが2年ほど分岐点は遅れると考えておきましょう。
70歳まで繰り下げれば分岐点は83歳、75歳まで繰り下げれば分岐点は88歳となります。
こちらが正しい分岐点なので間違わないように注意しましょう。
加給年金が貰えなくなる恐れあり
加給年金とは、厚生年金の被保険者が65歳に到達した時点で、被保険者が扶養する子供や配偶者がいる場合に支給される年金のことです。
一定条件を満たすと加給年金を受け取ることが出来ます。
厚生年金保険に20年以上加入している被保険者が65歳になった時点で、生計を維持されている65歳未満の配偶者、または18歳未満の子供がいる場合に給付されます。
加給年金の金額ですが年間約39万円となっています。
この加給年金は『繰り下げ受給』の対象にはなりません。
更に注意点です。(もっとも重要な事!)
繰り下げ受給を選択した場合、加給年金を貰えなくなります!
例として、会社員の夫と6歳下の妻が居たとしましょう。
繰り下げ受給を選択しなかった場合、夫が65歳になると老齢厚生年金に加給年金が加算され、妻が65歳になると加給年金は支給停止となります。
この場合の加給年金の総額は39万円×6年=234万円となります。
次に繰り下げを選択した場合、夫が70歳から老齢厚生年金を受給すると、65歳~70歳までの期間は加給年金は支給停止となり、70歳からは加給年金が加算されます。
しかし妻の年齢がその時点で64歳になっている為、加給年金は1年間の39万円しか支給されず、すぐに支給停止となってしまいます。
つまり繰り下げ受給を選択しなかった場合は234万円貰えるはずだった加給年金が、繰り下げを選択してしまうと39万円しか貰う事が出来ず、結果的に195万円の損をするという事です。
こういったケースに当てはまる方は気を付けておきましょう。
遺族年金は増えない
夫が老齢厚生年金の繰り下げをしても、妻が受け取る遺族厚生年金は増額されません。
何故かというと、遺族厚生年金の金額は亡くなった方の65歳時点での年金額をもとに計算するからです。
つまり亡くなった方が繰り下げしていても、その分は反映されないという事です。
ちなみに遺族年金には、遺族厚生年金と『遺族基礎年金』がありますが、この遺族基礎年金の方は亡くなった方の年金額とは関係無く一律で支給されるので、こちらも繰り下げの分は反映されないという事です。
遺族年金は繰り下げしていても”増えない”と覚えておきましょう。
年金の繰り下げ時に亡くなった場合は損
繰り下げ受給は受け取れる年金額が増額され、その後もずっと増額された金額を受け取れるので長生きすればするほどお得です。
一方、繰り下げの最中に亡くなってしまったら、基礎年金は受け取れないので損をしたと思いがちですが、少し間違った考えでもあります。
繰り下げの最中に亡くなった場合、65歳からの受け取れたはずの『未支給年金』は生計を同じくしていた親族の方が受け取ることが出来ます。
繰り下げを選択した自分自身は受け取ることは出来ませんが、残された遺族が代わりに受け取れるのであれば損をしたとは考えないでいいかもしれません。
注意点としては、未支給年金は遺族からの申請が必要となるので、繰り下げをしていることを生前のうちに伝えておきましょう。
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